※本コンテンツは医療従事者向けの病理・症例資料です。
※この記事には実際の臓器の写真が含まれています。
【症例1-vol.6:主膵管結石に起因する急性壊死性(出血性)膵炎の病理所見】
(1089)原因不明の死因

膵臓の表面からみると体部から尾部にかけて赤黒くなって腫大している部分がみられます。
この部分の割面をみています。割面も全体的に赤黒く溶けている様な感じをうけ、壊死を起こしています。
黒く見える部分は主膵管ですが、中に黒い小さな結石があります。

正常コントロールの膵臓です。
膵頭部は十二指腸にくっ付いています。十二指腸側1/3部分が膵頭部といわれる部分です。
膵臓の機能は外分泌腺(消化液)と内分泌腺(インスリンを出す部分)が混在している臓器で形は横に長く一般的には約20cmとされていますが、個人差が強くこの方HE写真;正常コントロールの場合は21cm位です。
多角不整の石を敷き詰めたような肉眼像です。
普通は脂肪の中に埋もれているような感じですが、腹膜に覆われ、第一~第二肋骨の脊椎にくっ付いている感じです。

膵臓の顕微鏡写真(HE所見)です。
正常コントロールの顕微鏡写真は色んなサイズで多角形の小葉と呼ばれる部分が、パズルの様に敷き詰めています。それぞれの小葉は薄い線維性の隔壁で分かれています。小葉は紫色の部分ですが、中に薄い青紫色がかった部分があります。
これはランゲルハンス島と呼ばれる内分泌腺(インスリンやグルカゴン、ソマトスタチン等)が分泌する細胞の集団です。小葉の中心部分近くに導管があり、分泌液はそれぞれの腺房で作られ、導管の中を通り小葉の導管を経て主膵管に合流し、3管合流部で胆汁と一緒になり十二指腸の乳頭部からシャワーの様に分泌されます。
症例(右)の外分泌腺のほとんどが壊死(左側から右側にかけてみられます)を起こしているため、写真上部には形だけですが残存する膵臓の腺房組織がみられます。
この写真の様に好中球浸潤と出血している部分がありますが写真を拡大しないとみえません。
壊死が広範になることが急性壊死性膵炎の特徴でもあり、診断名としては急性壊死性(出血性)壊死という言葉も使われています。
本例の場合原因は膵結石のためと考えられました。