※本コンテンツは医療従事者向けの病理・症例資料です。
※この記事には実際の臓器の写真が含まれています。
【症例1-vol.1:正常脳の表面と脳神経の解剖学的特徴】

正常脳の解剖時写真(頭頂部側、頭側)から見たところです。
硬膜を外し脳の表面を見ていますが、実際は薄い白色調および透明感のあるクモ膜が脳の表面を覆っていて、その下に髄液(無色透明です)が貯留しています。その下に脳が見えている状態です。
左右の脳回と脳溝を比べてみて下さい。明らかに異なっていることが分かります。中心前回(運動野)と中心後回(知覚野)も同様に異なった形をしているのが分かります。
また脳の表面には静脈(皮質静脈)が脳溝にあり目立っています。大脳の静脈は頭頂に向って流れています。脳の静脈には静脈弁がなく、頭蓋内圧や髄液循環に影響されやすいという特徴があります。
大脳の静脈は最終的に硬膜(大脳鎌)の上下の矢状静脈洞、横静脈洞に流れてS状静脈洞に集まり頭蓋骨から出ていきます。

脳を足側(下方)から見たところです。脳神経が並んでいます。解剖学的にはとても大事な神経ですが、どれがどれか分かりますか?
嗅神経、視神経、動眼神経、滑車神経、三叉神経、外転神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経などがあります。
前述しましたが脳および脊髄全体はクモ膜という膜に覆われていますが、脳を摘出したときには、下垂体が頭蓋骨の中のトルコ鞍に残り、視神経から橋の一部がクモ膜からはがれた状態になります。
大事な脳の血管(内頚動脈、中大脳動脈、前大脳動脈、前交通動脈、椎骨動脈、後大脳動脈、後交通動脈、脳底動脈、椎骨動脈)が乳頭体、視神経交差を取り囲むようにウィリス輪として確認できます。内頚動脈は視交叉のすぐ傍にありますが、頭蓋骨の中ではかなり短く、また個人差はありますが後交通動脈が細く頼りないです。中央には左右中脳、橋、延髄、脊髄が順に位置します。